今回は家事の中でも、最も動きが大きいと言われる洗濯を例に採って考えてみます。
この「洗濯」という家事動作は、「洗う 」「干す」「取り込む」「しまう」の4要素で構成されます。
1.「洗う」と「干す」を、家の中のどこに据えるか
まず「洗う」場所である洗濯機の設置場所。
これは水回りを集約するという意味でも、バスルームの近くが一般的ですね。
洗濯物が洗い上がったら物干しスペースへ。
屋外で自然乾燥をさせるためにバルコニーに干すご家庭が多いかと思います。
戸建て住宅なら、日当たりと風通しの良い2階のバルコニーが定番ですね。
しかしそれでは一般的な間取りのお家では、動線が長くなってしまいがち。
そこで水回りとバルコニーを直結させる間取りや、
室内干しもできるサンルームのような物干しスペースを近くに配置することで、動線をぐっと短くできます。
また、洗濯中は洗濯機に張り付いておく必要はありませんので、
サニタリースペースから直接キッチンやリビングへ移動ができると、
小さなお子さんから目を離す時間も短くでき、他の家事を並行して行うのも楽ですね。
また、サニタリースペースに入り口が2つあると、
横長のスペースの両端にバスルーム・洗濯機置き場と洗面がレイアウトできるので、
来客に洗面所を貸す時に見せたくないものから視線を遮る工夫もしやすくなります。
2.見落としがちな「干す」作業スペースを確保
洗濯機周辺のスペースそのものが狭かったり、
ハンガーやピンチなどの洗濯小物を収納したり一時的に置いたりする場所がないと、作業効率が落ちます。
バルコニーで作業をしようとすると、小物一式を持ちだしたり戻したり、足りなければ室内に取りに戻ったり
という手間が発生することも。
それに真夏や真冬に外で作業するのは辛いですよね。紫外線の強い時期は日焼けも気になります。
洗濯物を取り出したらその場で干せる作業場を確保することは、
快適さや効率を考える上では大切なことのひとつなのです。
3.洗濯物が乾いたら「取り込む」「しまう」
ここは各ご家庭で好みが大きく分かれるところではないでしょうか。
家事室のような独立した部屋に洗濯物を取り込んでたたむ・アイロンをかける作業をする方もいらっしゃるでしょうし、
リビングやその続きの和室など、ほかの家族の姿が見えるスペースで団欒をしながら行うという方も多いでしょう。
また「しまう」作業も、ファミリークロゼットのような大容量の収納スペースにまとめてしまうご家庭や、
家族一人ひとりの収納場所が別に決まっているご家庭など生活スタイルによって様々です。
しかしいずれにせよ、干す場所から近くにあることが効率の良さを求める上でのポイントです。
理想は4つの要素すべてがコンパクトかつ直線上に並んでいることですが、
実現したくても床面積や予算の都合というものがあります。
その場合は最低限「洗う」「干す」「取り込む」までの3要素、
それも難しいなら「洗う」「干す」の2要素がまとまってレイアウトされているのが、
家事動線の短縮という観点からは望ましいですね。
まとめ・理想的な快適間取りって?
家事動線を主眼に置いて間取りを見直すと、普段は意識しなかった日常生活が少し違って見えてきます。
さらに、間取りを選ぶ際には、ご自身のライフプランと照らし合わせることも重要です。
今後の家族の増減の可能性はもちろん、今は幼いお子さんが成長すれば個室が欲しくなるでしょうし、
長く住んでいれば物も増えるものです。
そんな風に現在だけではなく、その家で暮らす未来の自分たちの姿を想像することも間取りを選ぶ上では重要です。
ライフスタイルが人それぞれ違うように、暮らしに寄り添う住まいにおけるベストも人それぞれ違うもの。
そのベストを探りながら間取りを選ぶ過程は、自分自身を再発見することと似ているのかも知れません。
そんな風に丁寧に選んだ間取りなら、納得の住まいになるはずです。